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名古屋地方裁判所 昭和44年(わ)1898号 判決

本店所在地

名古屋市中村区日置通八丁目三六番地

滝川物産株式会社

右代表者代表取締役

滝川清

本籍

名古屋市中村区日置通八丁目三六番地

住居

右同所

会社役員

滝川清一

大正八年三月五日生

右両名に対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官馬場義宣出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人滝川物産株式会社を罰金三〇〇万円に処する。

被告人滝川清一を懲役四月に処する。

被告人滝川清一に対してはこの裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社滝川物産株式会社は、名古屋市中村区日置通八丁目三六番地に本店を設け、機械工具類の売買を目的とする法人、被告人滝川清一は、同会社の代表取締役として、同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人滝川清一において、右会社の業務に関し、法人税を免がれようと企て、

第一、昭和四〇年一一月一日から昭和四一年一〇月三一日までの事業年度における同会社の実際の所得額は、すくなくとも二、四〇八万四、五五五円であり、これに対する法人税額は八四七万五、二〇〇円であるのに、架空仕入、架空の経費を計上し、あるいは手形割引料収入を除外するなどの不正な方法により、その所得の一部を秘匿したうえ、昭和四一年一二月二九日、所轄名古屋中村税務署において、同署長に対し、その所得金額が一六〇万一、五六二円、これに対する法人税額が四七万二、四四〇円である旨の過少の法人税確定申告書を提出し、もつて、右不正の行為により正規法人税額と申告法人税額との差額八〇〇万二、七〇〇円をほ脱し、

第二、昭和四一年一一月一日から昭和四二年一〇月三一日までの事業年度における同会社の実際の所得金額は、すくなくとも一、四二五万一、三七四円であり、これに対する法人税額は四七七万七、八〇〇円であるのに、売上の一部を除外し、架空の経費を計上するなどの不正な方法により、その所得の一部を秘匿したうえ、昭和四二年一二月三〇日所轄名古屋中村税務署において、同署長に対し、その所得金額が三七二万一、八四一円、これに対する法人税額が一〇九万二、三〇〇円である旨の過少の法人税確定申告書を提出し、もつて、右不正の行為により正規法人税額と申告法人税額との差額三六八万五、五〇〇円をほ脱し、

第三、昭和四二年一一月一日から昭和四三年一〇月三一日までの事業年度における同会社の実際の所得金額は、すくなくとも二、二六一万八、一四〇円であり、これに対する法人税額は、七四三万一、〇〇〇円であるのに売上の一部を除外し、架空の経費を計上するなどの不正な方法により、その所得の一部を秘匿したうえ、昭和四三年一二月三一日所轄名古屋中村税務署において、同署長に対し、その所得金額が一、〇〇一万二七二円、これに対する法人税額が三〇三万四、一〇〇円である旨の過少の法人税確定申告書を提出し、もつて、右不正の行為により、正規法人税額と申告法人税額との差額四三九万六、九〇〇円をほ脱し

たものである。

(証拠の目標)

一、第四回公判調書中被告人会社代表者並びに被告人滝川の各供述記載

一、前同人の検察官に対する各供述調書

一、前同人の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、前同人作成の各上申書

一、登記官作成の登記簿謄本

一、大蔵事務官作成の証明書(昭和四〇年一二月三〇日申告分に関するもの)(判示第一の事実につき)

一、大蔵事務官作成の証明書(昭和四一年一二月二九日申告分に関するもの)(判示第一、第二の事実につき)

一、大蔵事務官作成の証明書(昭和四二年一二月三〇日申告分に関するもの)(判示第二、第三の事実につき)

一、大蔵事務官作成の証明書(昭和四三年一二月三一日申告分に関するもの)(判示第三の事実につき)

一、清水勝子の検察官に対する供述調書並びに大蔵事務官に対する質問てん末書(判示第一の架空仕入の点につき)

一、小谷あや子の検察官に対する供述調書(判示第三の架空経費の点につき)

一、後藤脩の大蔵事務官に対する質問てん末書(判示第一の架空仕入の点につき)

一、清水ふ志子作成の上申書

一、清水満紀子作成の回答書

一、二村基作成の銀行預金証明書

一、小林茂一作成の上申書二通

一、横井敏雄作成の上申書

一、野村証券株式会社名古屋支店作成の有価証券取引証明書

一、日興証券株式会社名古屋支店作成の有価証券取引証明書

一、海山邦彦作成の銀行預金証明書

一、朝日教治作成の前同証明書

一、宮本貞治作成の各前同証明書

一、前同人作成の銀行預金証明書

一、前原二夫作成の各銀行預金証明書

一、太田博和作成の各前同証明書

一、森秀一作成の各前同証明書

一、中沢祐爾、稲垣四郎、岩平清、田中亮、水野嘉秋、山田幹雄、各作成の現金、有価証券等現在高確認書

一、岡本元夫の大蔵事務官に対する質問てん末書

一、新美康夫作成の調査報告書

一、橋本幸博作成の大蔵事務官に対する質問てん末書

一、神谷武夫、鵜飼茂、野村久雄、日比野開二作成の各上申書

一、水本成子の検察官に対する供述調書

一、新美康夫作成の各調査報告書(昭和四四年一〇月七日付二通)

一、前同人作成の調査報告書(同年同月八日付)

一、平岩新一作成の上申書

一、戸崎敏子作成の回答書

一、坂倉綾子作成の大蔵事務官に対する質問てん末書

一、滝川房義作成の上申書

一、桜井孝治作成の回答書

一、服部正子の大蔵事務官に対する質問てん末書

一、前同人の大蔵事務官に対する質問てん末書

一、後藤三郎の大蔵事務官に対する調査報告書

一、半沢尚作成の上申書二通

一、中田耕嗣作成の上申書

一、安田元武、笠原延二、東商会、鈴木公雄、丹羽清、松島白一、小山つたえ、山本規之作成の各上申書

一、加藤徹、高橋鐐吉、後藤三郎作成の各質問てん末書

一、米山安男作成の現金、有価証券等現在高確認書

一、水野守作成の回答書

一、宮地竜雄作成の回答書

一、振替伝票二綴(昭和四五年(押)第一二三号の一、二)

一、元帳(同押号の三)

一、領収書(同押号の四)

一、メモ書名刺一〇枚(同押号の五)

一、仕入台帳(同押号の六)

一、諸経費綴三綴(同押号の七、八、九)

一、領収書等綴(同押号の一〇)

一、手帳一冊(同押号の一一)

一、メモ帳三冊(同押号の一二、一三、一四)

一、手形期日帳八冊(同押号の一五ないし二二)

一、振替伝票および売渡票写(同押号の二三)

一、元帳(同押号の二四)

一、元帳(同押号の二五)

一、売上帳(同押号の二六)

一、経費帳綴経費小払分(同押号の二七)

一、経費帳綴(同押号の二八)

一、経費小払分領収証等綴(同押号の二九)

一、小払経費領収書等綴(同押号の三〇)

一、販売日誌六冊(同押号の三一)

一、売上メモ(同押号の三二)

一、経費小払分綴(同押号の三三)

一、商品出納帳六綴(同押号の三四の一ないし六)

一、商品出納集計帳(同押号の三五)

一、在庫確認書写(同押号の三六)

(法令の適用)

一、被告人滝川物産株式会社について

(判示各事実につき) 各法人税法第一五九条第一項第一六四条第一項

(併合加重) 刑法第四五条前段第四八条第二項

二、被告人滝川清一について

(判示各事実につき) 各法人税法第一五九条第一項

(刑種の選択) 各懲役刑選択

(併合加重) 刑法第四五条前段、第四七条第一〇条(重い判示第一の罪の刑に加重)

(刑の執行猶予) 刑法第二五条第一項

(裁判官 辻下文雄)

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